タイトルが反則。思わず購入してしまった。
自分探しの罠にはまらないための道を探る!
自己啓発や自己分析でかえって己を見失ってしまう若者や、自分を探しに世界へまで飛び出してしまう夢追い人など“自分探し”は日本中に蔓延している。
中田英寿から「あいのり」まで幅広い分野での自分探しを分析し、その実態を探り出す。
タイトルのキャッチーさとは対象に中身はいたってまとも。引き合いに出されている例や、引用文献も豊富で、無理なくまっとうな意見が述べられているのがとても良い。
第1章 世界に飛び出す日本の自分探し
第2章 フリーターの自分探し
第3章 自分探しが食い物にされる社会
第4章 なぜ自分探しは止まらないのか?
4つの章から”病気”とも言える若者の「自分探し」について考察している。「自分探し」を強要してくるニューエイジャー、一部の成功者を持ち上げ「やりたいことを仕事にしろ」と迫ってくる各種メディア、そして「自分探し」を食い物にするビジネス構造。あとがきにて、著者自身も自分探しが止まらない若者の一人だと明けているが、そんな若者への言葉は決して優しくない。たいした努力もなしに環境を替えるだけで自分の内にある”はず”の才能が開花すると思っている若者に対して、それは甘えと言い放つ。
実のところ自分も、就活で提出した大学時代を総括する作文には、はっきりと「大学は自分探しの旅であった」と書いた。しかし、上記のような若者と決定的に違うのは、自分は高校卒業時点でやりたいことがすでに見つかっており、大学での自分探しは、夢を実現させるためのプロセスを選択することだったということだ。早い段階で自分の目標が決められたというのはある意味運が良かったのかもしれない。自分探しに必死になって、その日暮らしに甘んじていた可能性も完全に否定することはできないから、あまり笑えたもんじゃない。
けど、一つだけ言いたいのは、確かに環境は自分を変えてくれるけど、そんなちょっとした経験よりも、20年近くかけて形成された自分の人格・人生観を大切にしたほうがいいんじゃないかということ。今の自分を見て、こんなはずじゃなかったなんて考えたくもない。
最後は「自分探し」に迷走する若者で溢れる現状が、宗教や国家といった共同体よりも個人に重きが置かれるようになった現代が生んだ産物とし、「現実逃避ではなく、前向きな姿勢を大切に」として締めくくっているが、最終的に自分探しの罠にはまらないための解決策は明示されてはいない。